こちらの世界が、自分の世界の過去だという保証はないが、あかねはときおり考えることがある。
――― あたしは生まれる前、もしかしたら頼久さんと出逢っていたのかもしれない。
八葉は8人の男性で構成されている。
8人もいるのに、眼はいつも頼久を追ってしまう。
8人もいるのに、どうしてだろう、彼がそばにいると胸は高まり、けれど想いは深く安心してしまう。
こうして朝も ――― 。
(不思議……)
すぐそこに頼久がいるわけでもないのに、鍛錬に励む彼の気配を感じる。
ものすごく、愛しい。
もうしばらくすれば、いつものように頼久は顔を見せてくれるだろう。
――― おはようございます、神子殿。
あの笑顔。
ずっと続きますように。
守って、いきたい ――― 。
寝台に横になりながら、あかねは祈る。
彼の笑顔を、ずっと守っていけますように、と ――― 。
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