守っていきたい
〜遙かなる時空の中で〜
 頼久あかね 
 
   
 こちらの世界が、自分の世界の過去だという保証はないが、あかねはときおり考えることがある。
 ――― あたしは生まれる前、もしかしたら頼久さんと出逢っていたのかもしれない。
 八葉は8人の男性で構成されている。
 8人もいるのに、眼はいつも頼久を追ってしまう。
 8人もいるのに、どうしてだろう、彼がそばにいると胸は高まり、けれど想いは深く安心してしまう。
 こうして朝も ――― 。
(不思議……)
 すぐそこに頼久がいるわけでもないのに、鍛錬に励む彼の気配を感じる。
 ものすごく、愛しい。
 もうしばらくすれば、いつものように頼久は顔を見せてくれるだろう。
 ――― おはようございます、神子殿。
 あの笑顔。
 ずっと続きますように。
 守って、いきたい ――― 。
 寝台に横になりながら、あかねは祈る。
 彼の笑顔を、ずっと守っていけますように、と ――― 。

 ごあんない365のお題         目次


       +++ 365のお題からは…… 

          10.生まれる前
          
          



          ……を使いました。 +++



     *あとがき*

 遙か1の初・掌編です。
 このくらいの長さを目指したいのですが、だんだんと長編になっていくんですよね……。気をつけなければ。
 
 
 
 
 
 
 
高萩ともか・作